厚生労働省は2011年7月27日(水)、社会福祉法人の会計方式を統一する新たな会計基準を平成24年4月1日より適用とするとして「社会福祉法人会計基準の制定について」と題する通知を出した。
新たな会計基準は社会福祉法人のすべての事業(社会福祉事業、公益事業、収益事業)を適用対象とし、平成24年4月1日からの適用となるが、平成27年3月31日まで(平成26年度決算まで)は従来の会計処理によることもできるとしている。
新しい会計基準の従来との大きな違いは以下の通り。
- 従来は社会福祉、公益、収益と事業別に会計単位があったところを、会計単位を法人に一本化する
- 法人内の会計を社会福祉、公益、収益の事業に分けた上で、それぞれを施設区分に分け、施設区分をさらにサービス区分に分けてそれぞれに会計処理を行う
- 資金収支計算書の区分を事業活動による収支、施設整備等による収支、その他の活動による収支に区分し、事業活動計算書をサービス活動増減の部、サービス活動外増減の部、特別増減の部、繰り越し活動増減差額の部に区分する
- 財務三表(資金収支計算書、事業活動計算書、貸借対照表)は法人全体だけでなく、事業区分ごと、拠点区分ごとの単位でも作成する
- 借入金、寄付金、積立金等の明細書を作成する
- 4号基本金を廃止する
- その他の引当金を廃止する(従って、引当金は原則、徴収不能引当金、賞与引当金、退職給付引当金に限定される)
- 1年基準、時価会計、リース会計を導入する
厚生労働省では今回の通知に合わせ、「社会福祉法人会計基準適用上の留意事項(運用指針)」と題して新たに設けられる施設区分、サービス区分といった区分の区分けの仕方、費用等の案分の仕方や固定資産の経理処理方法を解説した通知を出した。また、この通知に合わせて「社会福祉法人会計基準の運用上の取扱いについて(Q&A)」と題する事務連絡を出して、今回の通知についての補足を行っている。
また、従来の会計方式から今回の新しい会計方式に変更する場合の留意事項等について「社会福祉法人会計基準への移行時の取扱い」と題する通知を出して解説している。
社会福祉法人の会計処理の基準については、「社会福祉法人会計基準の制定について」(平成12年2月17日社援第310号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)により示されているところである。
これまで社会福祉法人における会計処理については、「社会福祉法人会計基準」のほか、「指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針」、「介護老人保健施設会計・経理基準」、「就労支援の事業の会計処理の基準」、「経理規定準則」等による財務諸表の作成が認められてきたところであるが、同一法人の中で様々な会計ルールが併存していることにより、事務処理が煩雑である等の問題が指摘されている。
ついては、社会福祉法に規定する財産目録、貸借対照表及び収支計算書の作成に当たっての基準として、別紙のとおり「社会福祉法人会計基準」を新たに定め、平成24年4月1日から適用することとしたので、この円滑な実施につきご配意願いたい。
実施の時期は、上記のとおりであるが、平成27年3月31日(平成26年度決算)までの間は、従来の会計処理によることができるものとする。